自己免疫から考える関節リウマチの骨破壊
第3回 関節破壊に対するオプチニューリンの保護作用
本コンテンツでは、関節リウマチの病態機序における滑膜線維芽細胞の関与やIFN-γの役割について、代表的な研究結果と共に3回にわたってご解説いただきます。
第1・2回では、滑膜線維芽細胞においてIFN-γがオートファジーとともにACPA産生に寄与する可能性をご紹介いただきました。第3回では、関節破壊への影響に着目し、近年明らかになった関節破壊に対するオプチニューリンの保護作用についてご解説いただきます。
●オプチニューリンの発現抑制によるRANKLとオステオプロテゲリンの発現量の変化(in vitro)
滑膜線維芽細胞のオプチニューリンをノックダウンして解析を行ったところ、ノックダウンは対照と比較して細胞表面のRANKLの発現量を増加させた一方で、内因性の破骨細胞分化抑制因子であるオステオプロゲテリンの発現には影響しませんでした。このことから、オプチニューリンはRANKLとオステオプロゲテリンの発現のバランスを変えて破骨細胞分化を抑制していることが示されました。
●オプチニューリンは関節リウマチに対して保護的な役割を担う可能性がある
オプチニューリンは破骨前駆細胞において破骨細胞分化を抑制しており、一連の検討から滑膜線維芽細胞において、RANKLの発現を抑制していることが示されました。つまり、オプチニューリンの働きが低下すると、滑膜線維芽細胞においてRANKLの発現が増加し、破骨細胞前駆細胞おいてはRANKLの働きとオプチニューリンの低下により破骨細胞の分化が増加して、関節破壊につながります。